サーカスのクライマックスを飾る「ハイワイヤー(綱渡りの一種のワイヤー渡り)」や「空中ブランコ」では、演技者が歩くワイヤーや、安全ネットに適度なテンションがかかるように調節するのが、リハーサル時の重要な作業の一つになります。このテンションのかかり具合で、演技の成否、演技者の安全が左右されます。最初に強い負荷に耐えられるアンカーをとれる場所を、会場内に見つけなければなりません。舞台道具と2点以上のアンカーを、ワイヤーや綱で結び、きりきりと締め上げてテンションをかけていきます。この締め上げ作業は大抵ショウの途中で行なわれるので、出来るだけ短時間で行なわなくてはなりませんし(1例写真)、また、締め過ぎ、締めっぱなしでは道具を痛めてしまいます。この作業の為にいろいろなサーカスグループが、自分たちがもっとも使いやすい道具を、持ってきます。ほとんどのグループは、金車を使って、
数人の男たちで引っ張って締め上げるか、
最近では工事現場などでも使うチルホールという片手で操作できる手動のウィンチを使用したりします。
さて、コラム「ウズベキスタンサーカス紀行」で紹介したアリエーヴァ・サーカスは、ハイワイヤーの設営用に、なんともいかめしく、見たことが無い装置を日本に持ってきました。
それは・・・
これです
もう一つ角度を変えて。
この巨大な歯車を使ったレトロな機械を設置し、ハンドル回してきりきりとワイヤーを締めていきます。
その結果、こんな演技にも耐えられるテンションをワイヤーにかけられます。
なんとも質実剛健で機能美に溢れた装置です・・。
初回にして最終回かもしれない「道具愛」の第一回目、最後までありがとうございました。
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